切なくて怖い話:壁にガイコツのシミ

うちには、壁にガイコツのシミがあった

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昔、家族で県営の住宅に住んでいた時、壁にガイコツみたいなシミがあった。

そして、月日が流れて…。



11/12/08
昔、家族で県営の住宅に住んでいた時、壁にガイコツみたいなシミがあった。

それは俺が物心がついた頃からあったが、最初は親指程の大きさだったのを覚えている。それが十数年たつと、縦60センチ横45センチ程に成長した。

これほどの大きさになるとさすがに気持ち悪くなって、ジャケットなんかで隠して生活していた。

だが、高校入試の勉強にいそしんでいる俺の横で深夜にパサッとジャケットが落ちたりしてたびたび、嫌な気分にさせられた。

そんな事が続いたある日、俺が家に帰ると、あのガイコツの部屋の壁全てが黄緑色に塗られていた。父親に聞くと、

「お前もあんなもんがあると勉強に集中できんだろ、だから塗りつぶしてやった」

との事。

まあ俺にすれば、入試の事で頭がいっぱいだったので、どうでも良かったが、正直少しホッともした。

そして、その年が明けて入試の方も何とか受かって喜んだのもつかのま、両親が突然、離婚した。家族はバラバラになり、俺は16年過ごした県営住宅を離れた。

それからさらに10年の月日が流れ、風の頼りであの県営住宅が取り壊される事を知った。

俺はいてもたってもいられず、幸せだった頃の家族の思い出をたどりに、夜中にブルーシートに包まれ、解体準備に取りかかっていたあの住宅に忍び込んだ。

何もない部屋は、どの部屋も少しづつよそおいが変わっていて、俺達家族が暮らしていた頃の臭いはほとんど残っていなかった。

しかし、俺はふと思い出す。
そうだ、アレはどうなった?
この家の一番奥の俺の部屋のアレは…

ホコリの積もったドアノブに手をかけて回すと、ギギーッと音を立てて、軽く開いた。不思議と恐怖はなかった、ただ懐かしかった。

壁いっぱいに広がるガイコツのシミに俺は、ただ、「ただいま…」とつぶやいた。

実話です、少し感傷が入りました、スイマセン